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飛鳥に流れる螺旋の時―星と時と身体をリセットするリトリート旅

普段、私はカイロプラクターとして皆さんが身体のバランスを整えるお手伝いをしています。それと並行して、富士山麓でのネイチャーリトリートでは「日常のスケールから外れる体験」を提案しています。 

野山を歩き、自然のリズムに身を置くこと。それは、いわば「使いすぎて熱を持った脳を、自然の冷気でクールダウンさせ、再起動(リブート)する」ような作業です。
今回は私自身を再起動させるため、奈良県の明日香村へと向かいました。

富士宮から車を走らせること約5時間、片道350kmの長距離ドライブ。目的地は今から1300年以上前、日本の国づくりが始まった「はじまりの地」。歴史の源流に触れながら、自分の本質を見つめ直す自らへのリトリート旅です。

直感に導かれた「水配りと薬草」の地 

明日香村へ向かう道すがら、たまたま目に入った看板に強く惹かれ、予定になかった「宇太水分神社(うだみくまりじんじゃ)」へと立ち寄りました。

「水分(みくまり)」とは、本来「水配り」を意味します。水源を守り、必要な場所へ命の源を分配する神様です。身体の巡り(循環)を整える仕事をしている私にとって、この「水配り」という言葉には深い共感を覚えました。境内に湧き出る「薬の井」の御神水に指を浸すと、長い運転で強張っていた身体の緊張が、指先から解けていくようでした。かつて推古天皇がこの地で「薬狩り」を行い、この水で身を清めたという伝承が残っているそうです。私自身も薬草を生活に取り入れていますが、「植物や水で人を癒やす」という営みが1400年も前から変わらず続いている事実に触れ、大切さを深く実感しました。

宇宙の螺旋と、身体のリズム

明日香村で特に感銘を受けたのは、キトラ古墳の「天文図」です。そこには精緻な星の配置とともに、東西南北を司る四神が描かれていました。古代の人々も、東西南北を指針にして夜空を見上げ、自らの命を星の動きに重ね合わせていたのでしょうか。

実は、私も日々の施術を通じて「身体は一つの小宇宙」だと感じることがよくあります。宇宙の動きは、同じ場所をぐるぐると回る循環ではなく、螺旋(らせん)を描きながら、決して止まることなく新しい場所へと進み続けています。

私たちの身体もそれと同じです。細胞は絶えず入れ替わり、心臓はリズムを刻み、星が巡り、季節が変わるように、内側で絶え間なくリズムを刻みながら、常に変化し、調和を保とうとしています。

自分の身体の「軸」を確認し、内なるリズムを宇宙の大きな流れに同期させること。 それこそが、現代のストレス社会で私たちが最も必要としている「整い」なのかもしれません。
時代は違っても、私たちも同じ壮大な生命の営みの中に生かされている。その事実に触れ、どこか懐かしく、不思議と落ち着いた気持ちになりました。

巨大な石に触れ、日常の「物差し」を捨てる

明日香村の住宅街のすぐ裏手に、突如として現れる巨大な「益田岩船(ますだのいわふね)」。竹林を抜けてその巨岩を目の当たりにした瞬間、エジプトのピラミッドを彷彿とさせる圧倒的なスケール感に、言葉を失いました。

岩屋山古墳の石室内では、ひんやりとした湿り気を含んだ空気が肌を包みます。その静寂の中で、古代の人々がこの空間に込めた意図、死生観、大自然への畏怖の念に思いを馳せました。 

また、酒船石遺跡では、謎めいた石造物を前に、居合わせた方と「何のために作られたのか」と語り合いました。それらが特別な意図を持って作られたことを肌で実感するとともに、長い年月をかけてこれらを発掘・保存してきた現代の人々の情熱に、改めて深く感銘を受けました。

こうした巨大な遺構や、何世紀もかけてこれらを守り抜いてきた人々の情熱に触れると、「今週の仕事の締め切り」といった自分の中の小さな物差しがいかに一時的なものであるかに気づかされます。視点がミクロからマクロへ切り替わることで、固まっていた脳の緊張が、ふっと緩んでいくようでした。

30分間の静寂がもたらす「自己の調和」

翌朝、江戸時代の情緒が残る今井町の古い町並みを散策した後、橿原神宮を経て「神武天皇陵」へ向かいました。紀元前660年、日本の初代天皇として即位された方の御陵です。

そこには誰一人おらず、広大な参道を独り占めする形になりました。玉砂利を踏みしめる音と鳥の声だけが響く中、ただそこに30分ほど佇んでいました。
日常の役割やタスクをすべて脱ぎ捨て、日本の始まりの地で静寂に身を浸す。富士山の森で静かに目を閉じる時と同じ、自分の平和な部分へ戻っていく感覚。空は開かれ、呼吸が落ち着いて、中心が整っていく感覚。この「30分間」こそが、今回の旅で最も贅沢なリセットの時間となりました。 

最後に訪れた「牽牛子塚(けんごしづか)古墳」は、女性の天皇が眠る八角形の美しい墳丘。七夕にちなむ名を持つこの場所で、かつてこの国を導いた女性の強さやしなやかさに思いを馳せました。
女性の天皇は、当時の様子をどのような眼差しで眺めていたのでしょう。激動の時代、一国のリーダーとして、そして一人の女性として、どのような願いをこの風景に込めていたのでしょうか…

時間の捉え方を整える

今回の旅を経て改めて感じたのは、「日常という小さな物差し」から外れてみることの大切さです。 

カイロプラクティックで身体という「構造」を整えるように、リトリートや旅を通じて「時間の捉え方」を整える。富士山のふもとで自然に守られながら、自分と対話することも、飛鳥の地で宇宙や歴史に想いを馳せることも、本質は同じではないかと思うのです。 

ここで得た豊かな感覚を、これからの皆さんの施術やリトリートに還元していきたいと思います。

皆さまも、ほんの少しだけ日常の時計を止めて、自分の内なる宇宙に目を向けてみてはいかがでしょうか。 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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